別の病院に電話1

このまま朝が来るのを待つよりも、
いま何かできないかと考えていると、
あるアイデアが浮かんだ。


『夜間救急外来があるはずだ。
どこか近くの大きな病院に連絡して、
そこで診てもらおう』と思い立ち、
携帯を握った。
しかし、どこに電話をすればいいか見当がつかない。


昔、骨折をしたときに通った病院は、
レントゲンを見た医師がニヤニヤ笑った記憶があって、
腹が立ったので行きたくない。
父親が手首を折って手術を受けた病院は専門の医師が
よく変わるとかで、不安だからいやだ。


そこで母親にどこか知っている病院を尋ねると、
叔母が胆石の手術をして、
非常に良かったと聞いた病院名を答えた。
何が『良かった』のか、こちらが聞いても、
『良かったから良かったんちゃう?』と適当に言うだけだった。
大体、胆石と骨折は全く別物ではないだろうか?


意味のない答えだが、
こういうときは曖昧な答えでも、
人はそれに頼ってしまいがちだ。
調べてそこの番号にかけた。