その医者

なぜか夜中に何度も目が覚めてしまい、
日中は頭がぼーっとしっぱなしで生活に支障がでてきた。
なので、近所の医院に行くことにした。初診である。
医者に診てもらおうかという気持ちの迷いが、
さらに心理的負担になりそうだったこともあり、
多少すっと心が落ち着くことができた。
自動ドアの電源が入ってなかったことに戸惑いはしたが、
それにしても、その先生が良かった。
たまに見てもらう胃腸専門の医師のように、腕は立つが終始一方的に強気な態度でもなく、
大病院のように待ったわりに数分と経たないうちに、訳も分からず診察終了ということもなく、
空気のように自然であり、かつ絶対的な安心感が漂っていたように思う。
落ち着きがあり、気さくでユーモアがあって、何より窓口で会計のときに、
診察室から出てきて声をかけてくれる医者は、そういないのではないだろうか。
自分も、成し遂げたいことを人並みには持っているつもりである。
ただ今日はじめて、医者になりたかったと感じた、
そんな気持ちにさせられた先生だった。