hanno detto benissimo

お気に入りのコース

今日もいい自転車日和だった。林から漏れる夕暮れがまぶしい。
閑静な住宅街を縫うように、ひとり家路についていた。
連続する坂を登りきろうと顔を上げると、
そこに辺りの住人と思われる男性が、
2匹の犬を従えてこちらを向いて立っていた。
毛の長い、でかい洋犬だ。2匹ではなく2頭というべきか。
落ち着いたブルーのTシャツにカーキのハーフパンツ、足はビーチサンダル。
腹はたるんだ様子もなく、半分白髪の混じった長い髪の、
元サーファーのような涼しい眼をした40半ばの男性は、
犬の散歩を止めて私の到着を待っているように見えた。
「ここまで登ってきた?」
「はい」
「足をつかずに?」
「多分」
「素晴らしい」。
どんな状況だとしても、初対面の人間に素晴らしいと声を掛けられる人はそういない。
その後、会話は多少続くのだが、この一連のやりとりは、この上なく心地よかった。
坂を上がっていく自転車好きへの理解や、
気さくに話ができる心持からは学ぶところが多々ある。
またこの道を走りたくなった。