mio nonno 2

大病院処方箋会計処

祖父の心臓の定期健診に付き添っていく。
病院までMKタクシーを利用した。
日頃タクシーに乗ることもないせいか、
その接客、スムーズな運転に驚く。
衝撃のエムケー初体験である。
帰りは患者待ちの別の会社のに乗ったが、そこで
MKの素晴らしさを知った。次元が違う。


しかし今日の祖父はよく喋る。祖母という呪縛から解放され、
脳梗塞を起こす前より明らかに健康そうにみえる。
ストレスの有無が、こうも劇的に人を変えるのか。
リハビリも意欲的に行っているそうで、
院内で昼間に寝すぎ眠れない日、
深夜の病棟を運動がてら歩き回るそうで、
夜勤の看護婦たちが夜食にカップ麺を食べているのを
目撃してよだれが出てきたらしく、
「コンビニに買いにいけてええな、
 看護婦は外に買いにいけてええなぁ・・・」などと、
待ち時間の間しきりにうらやましがっていた。


本日の診察後、寄り道せずに一旦自宅に戻る約束なのに、
菜っ葉の炊いたもの中心の病院の食事に飽ききった祖父は、
どうしても好物のラーメンを食べたいようで、
「帰りに、ちょっとあそこ行こか」とか
「XXXの豚まんやったら帰りながら食べれる」というふうに、
それとなく提案してくる。脂っこいものを食べて
また血管が塞がり不測の事態を招くのが怖いので、
心を鬼にして優しく却下し続けた。
正月は盛大にラーメン、肉まん、牛丼,
さらにビールで腹いっぱいにしてあげたい。


何と言うか、
大病院の定期健診を一言でいうのなら、
患者をいかに素早くさばくかしか考えていない
気がして不快だった。
この国の医療は医学の進歩のわりに
心の分野で遅れているのを感じた。


ここだけの話だが数日前、
祖父が日記を書くのを再開したいから
日記帳を持ってきてほしいと頼まれた。
部屋で探して見つけ取り出した瞬間に、
紙切れがガサッと落ちた。おおかたレシートだった、
ただ1枚を除いて。
それはなんと、小池百合子議員の切抜きだった。
祖父は若かった。そして過激な写真などでなくてほっとした。