sfigato

朝からけだるかった。でも気にせずに自転車で出かけた。
途中のどが渇き、口を湿らす程度でいいので、
水道のありそうな公園を探しながら走り、すぐに見つけた。
そのとき一足先に、黒い大型犬と散歩している
小柄で小太りの中年男性が向こうからやって来て、
その水場で水を美味そうに口にした。
そして飼い犬にも水を与えるのだが、
蛇口が腰の高さもないので、その洋犬は水を飲むというよりも、
長い舌で蛇口によだれで汚して続けた。
そりゃ生きとし生けるもの喉が渇くよ、
だけどそれはないよと思いつつ、迫り来る光景を眺め、
そしてそのまま彼らの横を通り過ぎた。
ここで水を飲む気は消えうせていた。
こういう犬を連れている連中は得てして派手なジャージを着て蟹股で歩き、
まぶしくもないのに似合わないサングラスをかけ下品な顔をしているのだろう、
などとあらぬ方向へ高ぶっていく気持ちを向けながら公園を後にした。
もちろん模範的飼い主もいるに決まっているのに。


そうこうしているうちに帰り道、
リヤのチューブががパンクした。
地理に疎い町まで来ていたにもかかわらず、
修理道具、金、携帯電話も持っておらず、あるのは愛車と体だけだ。
何時間歩いたかよく覚えていない。
更なる不運に備えながらひたすら歩いた。
ついてない日はとことんつかないほうがいい。
明日は些細で小さなことでも幸せになれるから。
薄着のために風邪を引いたのか、今はただ喉がいがいがする。