羊の数えかた

ひつじを数えると眠くなる、とはよく知られた眠る方法のひとつ。
なのである眠れない夜、ベッドで横になり試してみた。
30匹を過ぎたあたりで、やっていることの違和感に気付いた。
それはヒツジが1匹、羊が2匹・・・と数えてはいるのだが、
一匹ずつではなく、1匹、次いで2匹同時に、そして3匹一緒に、さらに4匹群れてと、
頭の中で白い羊が累積的に増殖していた。間違っている。
空想上の青空の下、数えたひつじの頭数が脳の収容能力を突破し、
うじゃうじゃかたまりすぎて収拾がつかない。
眠るべく気を取り直して、正確に一匹ずつ数え始めることにした。
こちらの数えかたが正しいはずだ。
右から左へとかわいいひつじがいいテンポで、足取り軽く横切っていく。
しかしカウントしていればそのうちに眠れると信じる余り集中しすぎ、
最終的に388匹が柵を飛び越えた時点でカウントをギブアップした。
羊を数えれば眠ることが出来るなんて信じた自分がバカだった。
嘘つきでガセな言い伝えだと断言できる。
そよ風の吹く草原を自転車で流すイメージのほうがよっぽど眠れる。
あと、紺碧のビーチも寝るにはダメだった。波の音とラテンな曲は高揚しすぎる。