il reset

近江牛カレー

 思い出すのが難しいほど、
久しぶりに一人でラーメン店に行った。
 暖簾をくぐったときのぞんざいな挨拶からは期待することは何もなかったが、
まずまずのラーメンを普通に食事をした。
 腹も満たされついでに、
好意的なアンケートを、目の前の白い箱に書いて入れようとペンを取ろうとした。
だがその時、隣の客の吐くタバコの煙が何もかもリセットさせた。
狭い店内で、こともあろうに、
奴はくわえタバコでアンケートに長々と記入しているではないか。
何を書くことがあるのか。
 店にとって有意義なアンケートなんて存在するのか疑わしいと考えながら、
そのときレジに満面の笑みで支払いを待つ店員に、
会計表を手渡していた。

 その夜、いい意味でのリセットとして、
従兄弟からもらった近江牛の入ったレトルトカレーを食したことは、
ナイスジャッジだったと思う。