夕暮れのベイ

 それなりのカッコでヨットを楽しむ人たちや、
カヤックでスイスイ進む小学生も多く、
日差しの強い朝のマリンセンター。


 カヌーに乗るのが初めての方でも、
競技用ではないので、
ひっくりかえることはなかなかないのだが、
背後で大きな音がしたと思うと、
友人がチン(転覆)し、水面でもぞもぞしていた。
まさかである。
 やる前は自信ありげだったけれども、
登山に行ったときも山をナメた服装だったことから、
どうも物事を若干甘くみる傾向があるようだ。


 ライフジャケットのおかげでおぼれることはなくとも、
レスキューがエンジン音とともに表れ、
「大丈夫ですか?岸まで運びましょうか?」と、
手慣れた対応をする。ここでは乗れないので、
陸で乗りなおさなくてはならないのだが・・・。
 そこで友人はこう答えた。
「大丈夫っす!泳いで運びます!」と。
なんだよ、意地を張らずに運んでもらえばいいのに、
と呆然とした気持ちを抑えて、
楽しそうな小学生の軍団を背景に、船上から運ぶのを手伝った。


 そう、よくあることなんだ。