小屋

ゼミ小屋

床にスリッパが散乱し、書架には資料や書物が
私物とともに並べられている。
昔によく集まった場所。
室内にきな臭さが漂っている。
どうやら最近は利用されていないようだ。
ゆかりのある場所へ久しぶりに訪問することは、
当時の自分がどうだったかを教えてくれるらしく、
非常に頭の中がすっきりした。
迷える子羊に大切なことを言い聞かすような教えを受けた。
そして同時に温もりを感じる。
通い続けて数十年になる老店主の営む喫茶店さながら、
お互いの理解が隅々まで行き届いているような温かさを。
時が過ぎこのまま朽ちていっても、
今日のように何らかの影響を与えてくれる限り、
決して廃墟と呼ぶ日は来ないだろう。
高名な建築家の設計でなくても、
その存在に無限の価値を感じるのなら、
ここは私にとって名建築と言えるだろう。


噛みしめるのが全然足りていない気がする。
だからもっと人生を惜しいくらいに噛みしめろ、
と小屋に優しく説教された一日。
ありがとう、小屋さん。