il prefisso

いかなごスパ

旬の味覚をいただく。
ごちゃごちゃ手を加えなくても、
麺の上に釜揚げをポンと乗せるだけで最高だと思う。
単純で美味しい一品ほどお店のメニューにない。
だからそれらを、家で密かに料理するのがとても楽しく感じる。
素材の主張をまるごとキャッチしているスパゲッティだった。
ご飯の上でもパスタの上のどちらでも、
シンコは相性が抜群らしい。


0で始まらない、長い電話番号からの着信が履歴としてあった。
知り合いの方からの留守電が入っていた。
すぐにこちらからかけ返そうと、その番号をそのままダイヤルしたら、
聞いたことのない寝起きの声の女性が出た。間違い電話をしたようだ。
謝って切ったあと、国際電話の手続きを冷静に考えみた。
そしてまず国際電話のための番号を付ける必要を思い出し、
タウンページで調べ、国番号をフリーダイヤルで聞くことにする。
なんと国名や都市名を言うと自動で判別して教えてくれるらしい。
多少その性能を疑いながら、
ガイダンスの音声に従い「チュウゴク」と発声した。
すると「チュウゴクデスネ」と確認後、
「86デス」との応答があった。
現代のテクノロジーに無知なので普通に驚く。
こうなると他の単語ではどう反応するのか気になって仕方がない。
だから3つだけ試してみた。
「チキンカレー」「チキンカリー」「ミホノブルボン」。


ワカリマセンとかウソツカナイデクダサイなどという突っ込みを
少しは期待したのだが、とにかく機械なりに何らかの答えは出すものらしい。
結果は順に、
ジンバブエ」「カルガリー」「メルボルン」だった。
この時ちょっとだけ、こういうマシンを開発する研究者になりたくなった。


脱線はしたが国番号も分かったので、
自宅の電話で早速ダイヤルしてみる。向こうの聞きなれないコール音のあとで
電話に出た女性が、恐らく中国語で何か言っている。
知り合いの方が風邪を引いて声がちょっと変わっていて、
現地の人からの電話と思って中国語で応答していると思い込んでいたので、
こちらも○○さんですか、と呼びかけてみた。
やはり別人だった。一方的にシェイシェイを連続で言い放ち、さっさと切った。
番号が長いため正確にプッシュできずに間違い電話したようだ。


3度目。
ようやく目的の相手に電話がつながり通話を終えると、
どっと異質な疲れが出た。
同時に、高揚感のような、ちょっとだけ海外旅行へ行った気にもなった。
ひょんなことから、ささやかな得をした夜だった。