il vigilante canuto

丘から見たところ

不安な体調の様子を見ながら、
MTBで山の入り口へ登っていく。
途中に墓地を通らなくてはならず、
多くの参拝に向かう車で空気が悪い。
霊園を抜けて暫く一息入れていると、
交通整理の警備員が近づいてきて話しかける。
日焼けしたその初老のおじさんは穏やかに、
体を動かすことの良さや金剛山をよく登ることなどを、
語り始める。格好のひまつぶしの対象らしい。
ただ、言葉遣いといい落ち着いた話し方といい、
元・建設現場で働いていたというこの男性は、
むしろ大学教授や教師のように受け取れるのが不思議であり、
一方的ではない、お互いに積極的な
ひとときのひまつぶしなっているような気がした。
冷え切った人間同士では、
こういうゆっくりと流れる時間は表れはしない気がする。


そうこうしているうちに時も過ぎ、
一期一会に別れを告げて、
目的の登山口を目指して再びペダルを踏んだ。