「アンゴウ」

求めること自体に無理があるかもしれないけれど、
最近のミステリーは読み終えたあとの感触が、
どろどろしたりしゅんと尻すぼみしたりと、すっきりしないことが多い。
そういったなかで、この短編の何ときらきらっとしたことか。
日本探偵小説全集の10を読んでみて思ったのは、
「不連続殺人事件」で犯人当ての懸賞金をなんと自腹で用意した、
きっぷのいい坂口安吾という御仁は、
本当にまっすぐな遊び心を知っていた方だったんだなということだった。