fantasia estive

えび、鯵

たまには家にお土産を、と御座候の店頭に並ぶ。
テンポ良く客がさばけていく。
そしてあと一人、次が自分の番というところで、
この客が奇襲をみせた、流れのいいときに限って。
数は16コと別段驚くことでもない。
しかし後がいけない。バラバラで袋に入れてほしいと言っている。
4コなら4コで小さい箱、10コなら10コで大きい箱というように、
今まで御座候は大体ドーンと買うものだと思っていた。
予想外の注文に少し動揺しながら1コづつ地道に包装する店員と
それを見ながら必要以上にニコニコしている当の婆さんを漫然と眺めながら、
一つづつ小袋に分け入れなければならない理由を想像したり、
紙の無駄使いに若干ストレスを感じていた。
こんなこともあるよね、とギャグ程度に感じていたのだが、
自分の真後ろに並んでいる爺さんにはギャグでは済まないらしく、
イライラしているのだろう、私が注文していないにもかかわらず、
「赤4白2(餡の種類と数)」と抑揚のない声で連呼している。
世の中にはカッコいいお年寄りも多かろうとは思うけれども、
このように空気の読めない人には極力出会いたくない気がする。
ギャグ程度なら歓迎したい。


近所に孫がたくさん住んでいて彼らへのおやつ、もしくは、
お稽古に手ぶらはよくないので先生と仲間への手土産、
などと、さきほどの理由を無理やり作りながら帰り道を楽しんでみた。