いちアマチュアによる陶芸への道

かつて、ある窯元で作陶させていただいたことがある。
息子さんやお弟子さんがそばにおられるなか、
自分なりに真面目に作ったのだが、
高名でトラッドな先生には、
情けの褒め言葉がひとつもかけてもらえなかったことから察すると、
この実験的かつアバンギャルドな作品は受け入れられなかったようだ。
まあ、当然である。
小川未明の「殿さまの茶わん」を読んでいて、
不必要なほど分厚い茶わんとは実際どういうものなのか、
という疑問がふと生じ、それを忠実に実践しただけで、
本当は素人レベルでもそれなりにきれいな形を造形したかった。
ただ正直にやってみたいことをやっただけのことだった。
食卓で炊き立てのご飯をこれによそったりしてみたが、
考えられない碗の重さゆえ満足に米を味わうことができず、
そこらのクッキー缶の蓋に飯を盛ったほうが美味いとさえ思った。
いまは部屋で主にギターのピック入れにしている。


ここ数年、陶芸のギャラリーへ足を運んだりして、いいものを手に取りみてきた。
だから、そろそろ一日体験陶芸教室にリトライしてもいい頃合だという気がする。
マンガにハマったり、旅行で出合った方がイタリアで陶芸をされてるのを知って、
少しずつ触発されている自分がいるのがわかる。
今度は一般的にマジな茶わんをクリエイトする。
いつ行くかわからないけれど気張らずに、
休憩時にでもゆっくりイメージするのが楽しみな冬である。