右肘”ミギー”関節開放骨折『救急編』

ヒアリング

昨日と同じく黒縁メガネをかけた、 どこか重役秘書っぽい看護師から、 診察を受ける前に、 これまでの経過や救急でどのような処置をされたのか、 また現在の痛みなどを質問され、 低調な声だが手短に答えていった。 数ある質問の中で、 「どうしてこのまま家…

待合

どこの病院でも同じような光景だと思う。 カウンターの中では始業に向けてスタッフが忙しく動き、 発券機のような機械の前では、 診察を受けにきた人たちが並んでいる。 病院慣れしていない自分にとって、 オープン前にもかかわらず、 こんなに患者が来てい…

朝〜事故後2日目

眠った覚えがないまま、 気がつけば朝が来ていた。 右腕が痛む。体もかなりだるい。 血液のシミが広がる包帯の内側では、 ねちゃねちゃした感触がある。 それでも、待ちに待った朝だ。快晴だった。 片腕で顔を洗うというか濡らし、 卵とハムを焼き、 白ご飯…

真夜中のネットでお買い物

部屋に来た母が「どうやった?」と聞くので、 いっぱいで診察できないらしいから、 明日朝一でどっかへ行くと答えた。 すると母は、 「もし入院したら誰がキャットフードを買うん?」と言う。 「は?」 「いまからインターネットで」 「いま?」 要するに、…

別の病院に電話2

女性オペレーター「もしもし○○○○○病院です」 私「あの、今日の夕方に、 救急車で運ばれた病院で手当てを受けたのですが、 肘の骨が4か所ほど折れているそうで、 まだそこから血が止まらないのですが」 オペ「もう1度その病院に行かれた方が よろしいのでは…

別の病院に電話1

このまま朝が来るのを待つよりも、 いま何かできないかと考えていると、 あるアイデアが浮かんだ。 『夜間救急外来があるはずだ。 どこか近くの大きな病院に連絡して、 そこで診てもらおう』と思い立ち、 携帯を握った。 しかし、どこに電話をすればいいか見…

治療を振り返って&止まらない血

家に着く間際に、先ほどの治療を振り返った。 指先に力を入れて、 右腕の特定の場所を挟むように押さえていると出血しない… 中はどうなっているんだ? ……患部の肘に関しては、 特定の部分がぐちゃぐちゃらしく、 これをどうするのか目の前で交わされる会話の…

再び病院

お花見など楽しいイベントが多い反面、 面白いことに流され自分を見失っている気がしてます。 お誘いがあるのはいいことです。 ただし、心身のバランスやワークライフバランスなど、 何でもバランスをキープすることは簡単じゃないですね。 帰ってから、こそ…

出血

なんだかんだと忙しさに押されながら、 1、2、3月はあっという間に過ぎていきました。 こういう暮らしぶりはいけませんね。 今年も残り9か月。よろしくお願いします。 左手でぎこちない歯磨きを済ませてから、 どれくらいぼーっとしたのだろう。 おなか…

帰宅

自分の骨折に関係なく、 町は普段通りに動いていたことに多少戸惑った。 駅を目指すと、 どうも右脚の股関節が痛くて、 足を引きずるように進んだ。 歩調を合わせずズンズンと歩く母は、 遅れてついていく私を何度も振り返りながら、 少し先を行っていた。 …

救急診療終了

挨拶のあと、 まずは医師が母に説明をはじめた。 応急処置をしたので、 明日の朝一で、この病院の整形外科か 近くの整形外科へ受診するように勧めていた。 また、家に帰ってから何かあれば、 夜間もおりますので、遠慮なくこちらへ来てください、 とも我々に…

脳とオカン

昔、バイト先へ自転車で通勤中、 車に「ほんのコツン」と当てられて転倒し、 頭を軽く打ったおばさんがおられた。 その時は外傷や出血、痛みもなく、 そのままお仕事を続けたのだが、 4年たったある日、 突然ろれつがまわらなくなってきて、 障害があらわれ…

救急診療・他のきず

(現在のミギーと右腰の傷あと) 社会復帰で厳しいことばかりさせているけれど、 しばらくは持ちこたえてくれよ、ミギー。 右肘の止血が終わると、 ちょうど骨盤が張り出している、 右の腰の傷を消毒することとなった。 いわゆる擦過傷で、 傷の大きさはCD…

救急診療・再び止血

処置の甲斐もなく、 血は止まってはくれなかったが、 だからと言って、不安があるわけでもなかった。 というのも、いま自分は独りではなく、 病院にいて医者に診てもらっていることが、 説明不要の安心感を与えていた。 こういう状況下では、誰だって似たよ…

救急診療・シャワー

一通り洗浄が終わり、止血を施された私は、 家族への連絡を提案され電話をかけた。 事後報告と、シャツが破れているので、 着替えを持って来てほしい意味もあった。 自転車から落ちて骨が折れたという話は、 家族をひどく動揺させ、落胆させた。 すぐこちら…

救急診療・洗浄

現れたのは同じ年くらいの痩せた色黒の医師と、 ベテランそうな黒縁メガネの看護師だった。 早速傷口を見せると、ケガの経緯の問答の後、 医師は「ほう…これは…」とつぶやき、 まずは患部の洗浄に取り掛かることとなった。 理髪店で髪を洗うシンクみたいな所…

搬送

水で道路の血だまりを洗い流す間も、 曲がりくねった狭路を走り下りる間も、 揺れる車内で、 左腕で手すりを握って体を安定させ、 相変わらず若手の隊員に 右腕を持ち上げられたまま座り続けた。 痛みはあまり感じなくなっていたが、 体のだるさや疲れを感じ…

デスパレートな私

ヘルメットのヒビの一部。 右の内側と側頭部にもある。 ちなみに自転車のヘルメットは、 衝撃吸収時にヒビが入るような設計になっており、 一度役割を果たすと使えなくなる。 到着した救急隊員がケガの程度を確かめたり、 私に気分や痛みを尋ねたりしていた…

自転車と老人と救急車

右腕を発見者の奥さんに支えてもらい、 空に向かって上げ続けていた。 この体勢が楽だからだ。 それにしても、介助してくださるこのご夫婦に、 ありがたい気持ちでいっぱいだった。 ふもとからサイレンがかすかに聞こえてきた。 そのとき突然頭上から、 「結…

発見そして通報

今日、落車現場に行ってきた。 どこからみても、派手に転ぶような急な勾配には見えない。 それに例の鉄板がないじゃないか!?見間違いだろうか? 痛みよりも先に、ヘルメットの内側で、 地震の横揺れのように何度も脳が震えたのを覚えている。 そのあとで、…

落車

それは9月8日曇り、夕方4:30頃のことだった。 隣町にあるお気に入りのパン屋を出て、 まっすぐ帰宅するつもりが、 近くの坂道をもうひと漕ぎしてから帰ろうと、 時々走る道へ向かうことにした。 ちょっと遠回りをしてしまう気持ちは、 自転車好きの方なら…

はじめに

自宅はホッとするものの、 病院のベッドに慣れてしまった今、 比較的柔らかい家のベッドでは眠りにくい。 1か月に及ぶ入院生活の名残である。 今日からしばらく、 現在治療中である粉砕骨折について、 思うところを書き留めていきたいと思います。 というの…